GREENLAND

エム・ヴイ・エム商事株式会社の扱う野菜・果物に関する商品や産地、販売情報から、生産者、栽培方法、旬、栄養、保存方法、レシピ、美味しいお店、果ては会社や仕事の、楽しさ、新たな発見、感動、熱い想いなどなどをスタッフが綴るブログ。

リンゴ療法

子どもの頃、夏から秋にかけての季節の変わりめには、必ず風邪をひくと母親がリンゴをすりおろして食べさせてくれたのをよく覚えている。発熱して、何も食べられない状態にもかかわらず、不思議と母親がすりおろしたリンゴだけは食べられ、すりおろしたリンゴが熱を帯びた口の中が冷やし、すっきりとした気がしたモノでした。母親がどれ程の知識をもって、風邪を引いた子にリンゴを与えたのかは定かではないにしろ、今月の日系ビジネスの記事を拝読して、母親のとった行動が正しかったのだと思えたので、以下にその文章をご紹介します。

医食同源 血圧を抑えるリンゴ療法
1929年、ドイツの医学雑誌に「リンゴ療法」の効果が発表された。急性消化不良や赤痢など、1歳から5歳までの52人の子供にすりおろしたリンゴを2日間にわたって与えたところ、下痢はすぐに止まり、熱が下がったという。
当時、乳児の下痢による死亡率は高く、多くの国で追試が行なわれた。千葉医科大学の託摩武人病院長は1941年の日本小児科学会でリンゴ療法はリンゴに多いペクチンによって領内にビフィズス菌が多数出現するためではないかと述べた。
リンゴ療法をさらに世界に広めたのは弘前大学佐々木亮名誉教授だ。かつて日本は世界でなだたる脳卒中王国だった。とりわけ多いのは東北地方。原因としては1日の塩分摂取量が25〜30gもあった。塩分の摂りすぎが血圧を上げ、脳卒中を多発させていたのだ。
不思議なのは、そうした塩分摂取の多い地域で、青森・弘前地方のリンゴ産地では血圧が低く、脳卒中も少なかったこと。佐々木氏はリンゴにカリウムが多いことに気づいた。リンゴ産地では、リンゴ摂取量が多く、当然カリウムも多く摂っている。そのカリウムが塩分の害を抑え、高血圧を防いでいるのではないか。今から45年以上前、高血圧の原因がよく分からなかった当時、この説は世界で注目された。
佐々木氏は人々を2群に分け、一方にリンゴを食べさせず、もう一方には好きなだけ食べさせた。すると、リンゴを食べた人たちは血圧が下がった。血圧が上昇する冬の果物として、リンゴはやはり貴重である。
(堀田宗路=医学ジャーナリスト)日経ビジネス2008年11月17日号より