GREENLAND

エム・ヴイ・エム商事株式会社の扱う野菜・果物に関する商品や産地、販売情報から、生産者、栽培方法、旬、栄養、保存方法、レシピ、美味しいお店、果ては会社や仕事の、楽しさ、新たな発見、感動、熱い想いなどなどをスタッフが綴るブログ。

産地視察と北海道農業の裏話

こんにちは。北海道オフィスの瀬尾です。
前回のエントリーでご報告した通り、6月20日より北海道は札幌にて営業活動を開始いたしました。
開設した翌日からの函館出張を始め、現在までに走行距離5,000キロをオーバーしており、ほとんど事務所にいない日々ですが、まもなく収穫を迎える南瓜/玉葱の商談などのためであります。

北海道産地視察

北海道内産地視察しているイメージですが、今年は「不作の産地がないまま収穫期に突入する可能性が高い」と感じているところです。
ここ3年ほど、どこかの産地で異常(雹害・極端な大雨・熱波)が発生しておりましたが、今年は旱魃ではありますが、日中の気温も25℃前後で、夜温は15℃以下までなる日も多く畑作作物にとっては素晴らしい生育環境です。
特に玉葱についてはこのまま雨が降らなかったとしても、豊作にこそならないかもしれませんが、近年にない締りの良い高品質な玉葱が生産されるのでは?と期待しているところです。

北海道農業の裏話

さて、前回のエントリーで北海道農業の裏話を書くとコミットメントした手前、どんなネタが良いかと悩んだのですが、僕が神戸にいた約3ヶ月の間に感じた"意外に本州の人が勘違いしていること"について、僕なりの意見を交えて現状を説明しておく必要性あるのではと考えるに至りました。

僕が神戸にいる間、商談に行く機会が非常に多かったのですが、8割の人が"お金さえ払えば農家は物を売ってくれる"と思い込んでいるようです。

前回のエントリーでも軽く触れましたが、農家社会はとんでもないムラ社会なのです。
昔ながらの付き合いだとか、数的根拠のない人情によって原料の売買がなされているわけです。
もちろん、価格は農家にとっても非常に重要なファクターではありますが、人情>価格となっているケースが殆んどだと考えられます。
特に高齢の農家においてこの傾向は更に顕著で、30代の後継者クラスになってくるともう少し、価格や末端取組み先とのコラボなどに視線が移るようです。

そして、何より重要なことですが、業者に直接生産物を出荷する農家自体が全体の30%もあるかないかなのです。
これをお話するのは本州のお客さんの希望をズタズタに打ち砕いてしまうのでは?と少々悩むところではありますが、実態を素直にわかりやすくお伝えするのも産地にいる人間の仕事と思い、今回投稿させていただくことにしました。

自然界や人間社会の事象を、十分に標本数を多くとれば、正規分布に近づくものが多いです。
典型例は身長や体重の分布、試験の点数などがそれなのですが、直販農家もこれまたほぼそのまま当てはまると言って過言ではないと思われます。


ある品目において正規分布の標本集団の標準偏差をσとして、
平均値を挟んで…
上下1σの範囲に入る確率は68.27%
上下2σの範囲に入る確率は95.45%
上下3σの範囲に入る確立は99.73%
となります。

これを北海道の農家に置き換えると…
上下1σ=業者に売らない農家
上下1σ〜2σの間に分布する農家=業者に売ってくれる農家
上下3σ以降は独自路線での販売を貫く農家
というふうに分類できます。

また、業者に「売る/売らない」の尺度ですが農家の懐事情とイコールと考えて良いと思います。
つまるところ、
上下1σの農家=程々に借金したり人並な経営ができている農家
上下1σ〜2σの間に分布する農家=超リッチで資金は銀行から借りれる農家or酒やギャンブルでお金が回らない農家
上下3σ以降は有機とか直売所に突き進む農家

概ね、上記の分類で間違えないと思われますが、僕たちは20数%の狭い範囲のなかを右往左往しながら、オセロゲームのように毎年毎年ひっくり返したり、ひっくり返されたりしながら生きているのです。

僕はそんな現状にうんざりしているのですが、早いところ、産地におけるレッドオーシャンから脱却すべく、自社農場を設立できるよう軸足をシフトしていきたいですね。