会社勤めを始めて長年になりますが、感謝の気持ちを込めて“恩師”と呼べる先輩の存在は、仕事を続けていく上でとても大きなものです。
昨年退職された私の元上司の方が、3月に癌で亡くなられました。すでに末期段階であることは、ご本人から知らされてはおりましたが、その訃報は大きなショックでした。退職のごあいさつに会社へお見えになられた日が、お会いした最後でした。その別れ際両手で握手してくださった時、感無量の重いでした。その感触は今も手に残っています。
この方の直接の部下として働いた年数は、短いものでしたが、間近にその人格的雰囲気に接しながら、仕事そのものを学びました。笑顔の大切さを教わりました。人を育てる忍耐を見ました。直言する胆力に驚きました。さらには「生きざま」という全人格的のものを教わり続けた年月でしたし、その尊敬する領域に少しでも近づきたいと仕事してきたように思います。
現代は、「師弟の関係」は、希薄で古い概念のようにいわれますが、人間は人と人との関係で成り立っていることに何の変わりはないはずです。組織上の師、心の師を持てる喜びを得れば、会社勤めもこれに勝るものなしになります。
私よりもずっと若い方たちが、これからの社会の担い手となりますが、これからの数多くの出会いの中で尊敬できる師を実感し、そして時を経て、“後進を育てなければいけない”という使命を何よりも大切にしていってほしいものです。
- 作者: 松尾昭仁
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2011/11/29
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