GREENLAND

エム・ヴイ・エム商事株式会社の扱う野菜・果物に関する商品や産地、販売情報から、生産者、栽培方法、旬、栄養、保存方法、レシピ、美味しいお店、果ては会社や仕事の、楽しさ、新たな発見、感動、熱い想いなどなどをスタッフが綴るブログ。

パキスタン・マンゴーとパキスタン訛りの英語


これからパキスタン・マンゴーのシーズンが真っ盛りを迎えます。
このチョンサ(Chaunsaという品種)マンゴーは、英国王室御用達で世界一美味しいと称されており、英国を中心とした欧州や、アラブ首長国連邦サウジアラビアを中心とした中近東向けにたくさん輸出されています。絹のようななめらかさが特徴の、甘さを極めたとっておきのマンゴーです。日本でも、ここ2〜3年の間にその美味しさが着々と消費者の間に根付いてきています。

今回は、パキスタン人の英語、ウルドゥー語(パキスタンの国語)訛りの英語(公用語)についてお話したいと思います。どうしてあんなに話す英語が訛っているのでしょうか?それに対する答えは、見方を変えれば、彼らも日本人の話す英語が訛っていると感じているということです。

1947年のイギリスからの独立以来、パキスタンでは憲法を始めとする全ての法令や、公文書は英語で書かれており、政府の公式サイトは英語でだけで書かれています。また全ての高等教育機関が英語を教授言語としていますが、ほとんどの初等中等教育ウルドゥー語で行われているため、英語を自由に操るパキスタン国民はあまり多くないようです。そのため言語的アパルトヘイト(人種隔離政策)と言われる国民の分断が存在しています。しかしながら、対外的なコミュニケーション・ツールとしての英語に関しては、ご記憶のように2014年にノーベル平和賞を受賞したパキスタン人権活動家のマララ・ユスフザイさん(当時17歳)の国連での演説は有名です。堂々とした明瞭な英語は素晴らしいものでした。その背景には彼女に対する父親の教育も大きな影響を与えたことが知られています。彼はそのことを以前NHKで放送されたTEDトークで話していました。

かつて日本の明治維新の頃、日本各地から東京には様々な出身地の人々が集まり、そのお国訛りは、まるで外国のような様相を呈していたようです。例えば薩摩弁、長州弁、土佐弁、会津弁、津軽弁、江戸弁、京言葉などなど。インテリ同士であれば、困ったときは英語の単語を並べて話したほうが、強い訛りのある日本語の方言よりも意味が通じたようです。現在のようにテレビやラジオ、携帯電話やインターネットがなかった時代ですので、なおさらです。日本国内でさえ、かつてそのようなことが起こっていたわけですから、現在でも、こと海外とのコミュニケーションとなると、想像以上ということになるのでしょうか。

元々、私は大学時代にESS(英会話のサークル)でアメリカ英語の発音を勉強し、さらに仕事で8年間、ロサンゼルスに住んでいましたのでアメリカ西海岸の英語には慣れていました。一方で、娘婿はアメリカ東部のボストン出身ですが、彼の話す英語はアメリカ英語とはいいながら、やはり響きが違います。通常、標準アメリカ英語というのは、米国中西部で話されている英語で、General American(GA) 、同じくStandard American English(SAE) と呼ばれています。具体的には、シカゴ出身のヒラリー・クリントン、そしてシカゴに長く住んだバラク・オバマのような発音で、私もその美しい響きを好んで彼らの発音を学んできました。アーカンソー州出身のビル・クリントンの英語には南部の訛りがあり、GAやSAEとは別物と言えます。素晴らしく格調高く話した元国務長官ヘンリー・キッシンジャーの英語には、ドイツからの移民らしく強烈なドイツ語訛りがあります。一方、チェコスロバキアプラハ生まれですが米国移民の元国務長官マデレーン・オルブライトは、長年の米国生活でその訛りは全く感じられません。それぞれの人々が話す英語の発音やアクセントや話しぶりには、それぞれ独特の魅力が感じられます。さらには、人間の音声というのは二つと同じものがないわけですので、その魅力が追加されます。個人的には、ヒラリー・クリントンの声が大好きです(ただし大統領夫人だった頃の美声ですが)。

以前、長く英国に住んでいた友人に、英国訛りの話をしたら、英国こそが純正英語(Queen’s English)だから、訛っているのは米国英語だと言われ、なるほどと納得したことがあります。

現在、英語は海外市場とビジネスを行う場合には、コミュニケーションのツールとして、グローバル・レベルで必要な言語になっています。そのさい、言葉は話すだけでなく、emailや書面で書かれた文章も大変重要な役割を果たします。

相手先のパキスタンの窓口を担当している方々のemailに書かれた英文を見ると、言いたいことが正確な表現で記載されています。そのため、ズバズバと彼らの要望と主張がこちらに伝わってきます。おそらく現地では英語で高等教育を受けた方々なのだろうと推察できます。ただ、電話で話すときは、たたみこむような、そして、あまりのパキスタン訛りの強さのため、リスニングに四苦八苦することになります。

やはり、話し言葉、書き言葉を使い分けることが重要だと感じています。書き言葉は杓子定規になりがちですが、話すことでお互いの感情移入がさらに容易になり、相手にたいする親近感も湧きます。

今後もグローバルなビジネスをさらに進めて行くことになると思います。世界には様々な国々があり、多様な文化・価値観を持ち、独特の訛りの英語を話す人々が存在します。既にどの国の英語が標準なのかは関係のない時代が到来しています。