西日本ではまだ梅雨は明けておりませんが、朝の通勤の時に公園の近くを通ると蝉の鳴き声がちらほらと聞こえてきて、そろそろ蝉時雨の季節が近づいていることを感じずにいられません。
蝉たちは一斉に鳴き出したかと思うと一斉に鳴き止んだりしますが、まさしく時雨*1のようで、頭上から聞こえてくる蝉時雨に毎年私は本格的な夏の訪れを実感して「さあ、熱くなるぞ!」と気合を入れたりしています。
「蝉」って卵から幼虫、蛹を経ないで成虫になってしまうという不完全変態をする昆虫なのですね。長い時間を土の中で過ごし、地上では長く生きられないなんて、人間から見ると儚い一生の様で、その姿は日本人の無常観を表している「もののあはれ」という「観念の象徴」とも言われました。
でも、中国では儚さとは反対に、土の中から現れる姿を見て「復活の象徴」と言われていたりして、日本と正反対な印象なのだそうです。
どちらも生命と死をイメージしていて、パワーを感じることは確かです。
「時雨」は雨の名前*2をたくさん持つ日本ではお馴染みの言葉。
それにしても、蝉の喧噪な鳴き声を「時雨」に喩えるなんて、情緒的で、やっぱり日本的。「蝉時雨」という言葉は俳句でもよく使われているけれど、本当に美しい日本語。
虫の鳴き声を、虫の音(ね)と表現できる日本人に生まれたことを嬉しく感じる言葉のひとつだと思います。
来週はそろそろ梅雨明けだろうか?蝉時雨の中で今年も気合いをいれなくちゃ!